墨田区實相寺熊谷稲荷堂調査
調査期間:8月17日〜18日 9月7〜8日
調査対象:熊谷稲荷堂
調査員 :禹麗潔、万長城、兪莉娜、亀田康平、小林達彦、川島真輝、呂震楠、志智優奈、嶋田由樹菜、水野結唯
調査目的:墨田区東駒形に所在する本寺院は戦時中よりその姿を留める貴重なRC造の寺院建築である。墨田区からの委託調査。熊谷稲荷堂の調査図面・報告書を作成する。
調査内容:実測調査、目視による仕様・破損調査、史料調査、これらに伴う写真撮影等を行う
新宿区目白聖公会教会
調査期間:7月31日 8月〜12月
調査対象:目白聖公会教会
調査員 :小岩正樹准教授、李廷敏助手、伊藤瑞季、臼井和也、前田恵里、山下耕生
調査目的:目白聖公会の建造物とその敷地の持つ歴史的文化的価値を明らかにする。特に東京における近代キリスト教教会建築としての価値と地域における価値の双方を明らかにし、建造物の評価を行う。
調査内容:2014年度早稲田大学建築史系研究室により実測調査・所蔵史料を中心とした文献調査を実施。本年度は2014年度調査の内容に分析・考察を付加し、建造物の評価を実施する。
史料調査
調査期間:7月24日 8月9日 8月10日 9月19日
調査対象:建築史系研究室貴重書庫内の資料または資料群
調査員 :小岩正樹准教授、王漢陽、小野緋呂美、常琢、高瀬道乃、河合七海、内田鞠乃
調査目的:建築史系研究室貴重書庫にある資料から特に貴重であると思われる資料又は資料群について、考察を中心に行う。資料の物理的な価値、内容としての価値、歴史的背景を踏まえた価値などを総合し考察をする、資料に対し建築調査の際に作る報告書を作るような作業である。
調査内容:調査対象資料は各自で選び、一人一人がそれぞれの資料について考察を行う。また、考察した成果は学会で発表(大会や支部研究発表会など)を行う。
目黒区O家調査
調査期間:10月26日〜27日 12月18日
調査対象:O家住宅
調査員 :髙田圭祐、竹田福太朗、豊永早織、海津隼人、岩井亮、宮嶋雛衣、種田駿、森田歩
調査目的:O家住宅は築140年の平家民家であり、増改築により現在は撞木造の屋根形式となっている。目黒区に残る古くからある農家であり、現在も農業を営んでいる。本調査は目黒区からの委託調査であり、聞き取り調査、図面・報告書の作成による建造物の評価を行う。
調査内容:聞き取り調査、実測調査、目視による仕様・破損調査、史料調査、これらに伴う写真撮影等を行う。
海外調査(アンコール)①:サンボー・プレイ・クック遺跡調査
調査期間:8月2日~8月20日
調査員 :早稲田大学建築史系研究室…成井至、檀原江
早稲田大学文学部考古学研究室…田畑幸嗣准教授、横山未来、岸田彩、田邊凌基、横溝優、中村翠
筑波大学…下田一太准教授
Norton University…So Sokuntheary教授
対象遺構:サンボ―・プレイ・クック遺跡群 プラサート・サンボ―寺院
調査目的:1998年より継続的に調査・修復活動を行ってきたサンボー・プレイ・クック遺跡群において、学術研究および今後の遺構修復活動のための基礎測量調査を行った。
調査方法:光波測量機を用いた精密測量、簡易測距計を用いた実測、手ばかり調査、写真記録、標高移動写真を用いた三次元測量、クリアランス調査
調査内容:
1, 当該遺跡群におけるGPS基準点の打設と作成当該遺跡群において、使用されていたGPSの基準点を更新するよう、新たな基準点位置を打設、高精度GPSによって数時間の測位を行い、周辺遺跡群を含めた測量の基準点となるデータの採取を行った。また、作成した基準点にコンクリートの打設を行い、協力する諸機関との共有を行った。
2, 北寺院群中央祠堂の図面描画2017年に竣工した北寺院群中央祠堂において、修復後の各種立面図を作成するための測量調査、およびデータ採取を行った。また、中央祠堂が位置するテラス上の平面図描画のための測量調査、およびデータ採取に関しても同様に実施した。
3, 西側外周壁付近の新規マウンド測量広範囲レーザー測量「Lidar」のデータより、現在まで確認されていなかった新規マウンドの測位を行い、コンター図を作成した。本マウンドではラテライト材の破片が多数確認されており、遺構が埋没している可能性が十分に考えられる。
4, 祠堂の基壇モールディング測量北寺院群、南寺院群、中央寺院群、および周辺遺跡群における基壇モールディングの簡易測量を行った。また、三次元モデル化を行うことができる資料採取に関しても同様に行った。
海外調査(アンコール)②:バイヨン遺跡調査
調査期間:8月22日~29日
調査員:石塚充雅、成井至、檀原江
調査対象:Bayon寺院
調査目的:1997年度に作成された、バイヨン寺院における部材の損傷・劣化が著しい箇所を記録した「危険個所インベントリ」を更新するべく、再度同様のインベントリを作成するための写真撮影、および新規危険箇所を特定するための調査を行った。2019年では特に上層テラスの調査を集中的に実施した。
資料調査:2017、2018年に記録した危険箇所の写真及び1997年の危険箇所インベントリデータを再確認し、データの有無、再撮影必要箇所の検討を行った。データの漏れに関しては97年度のインベントリをスキャンし直した後に現場にて確認をした。
現場調査:上層テラス危険箇所記録調査:上層テラスは観光客が連日多数訪れ、建物基壇や窓・柱といった部材にかかる荷重、摩耗などの要因から、比較的劣化が進んでいた。特にステップやナーガの欄干、また床面石材などでは劣化が著しく、今後観光客の事故や遺跡の著しい損傷を招きうる可能性がみられたため、さらに個別な詳細インベントリを作成し、現地機構に共有を行った。
内回廊危険箇所記録調査:内回廊部分において過去のインベントリ資料を基にし、写真の再撮影を行った。一見して1997年度のものと比較して著しく劣化が進んだものは少なかったが、一部今後の部材崩壊を招きうる箇所が散見された。今後、外回廊も含めて調査を継続し、各危険箇所の評価を進めていく。
海外調査(アンコール)③:アンコール近郊遺跡調査
調査期間:8月15日~29日
調査員:石塚充雅、成井至、檀原江、鈴木勝大、杉本功太、種田駿
調査対象:Bayon寺院、Preah Khan(Angkor)寺院, Ta Som寺院、Banteay prei寺院、Ta Nei寺院、Banteay Kdei寺院、Ta Prohm寺院
調査目的:現在アンコール地方を中心とした調査研究や修復事業が進展している中でクメール王国を広域として理解することがクメール学発展のために重要であり、荒廃が進んでいる地方寺院の基礎資料を確保することを目的としてPKKS調査を行っている。作図のための実測は2016年度までに大まかには完了しており、2016年度からアンコール地域の寺院との比較調査が主に行われている。2017年までは列柱廊の柱の割付寸法について、2018年度は付属建物について考察を行っている。アンコール地域のバイヨン期寺院における隅建物に対して基壇形状や平面計画について傾向を調査し、大プレア・カーンの復元図面の妥当性の検証を行うこととする。本調査においては平面型の寺院に対して調査を行う。隅建物は寺院ごとにその特徴が異なり、回廊を構成する重要な要素であるがその傾向などの既往研究は未だに十分でない。
調査内容:
Ta Prohm寺院:全体規模のTPS調査および隅建物・開口部調査
Preah Khan(Angkor)寺院:全体規模のTPS調査
Baphuon寺院、Ta Kev寺院、Phimeanakas寺院:開口部および窓間の実測調査
海外調査(アンコール)④:シェムリアップ近代調査
調査期間:8月18日~8月29日
調査員:黒岩千尋、早川実尋、岩井亮、原田佳典
調査対象:シェムリアップ歴史地区周辺
調査目的:今後のシェムリアップ歴史地区の保存・利活用に向けた建築物の歴史指標策定のために、街並を形成するショップハウス(住居兼店舗)および歴史地区全体の街区や建物配置の現状を明らかにする。併せて歴史地区内の職住実態の変化やコミュニティの実態を把握する。
調査内容:歴史地区内街区の詳細な実測、歴史地区内インベントリー作成のための写真記録、歴史地区内および周辺でのインタビュー調査