行為/民俗/空間研究会 2021

 「現在、住宅から生と死が消失しつつあり、社会性や、地縁から縁遠くなって久しい。これらはもちろん、本来象徴的にしか住宅に含むことができないものであった。この住宅からの象徴の喪失こそ、伝統的な日本住宅の衰退の始まりだったのではないだろうか。」(中川武:日本の家)という中川氏の問いかけから、民家と象徴(不可視の存在)との関わりを考えたい。住居像には、住み手の宗教的/生活的などのリアリティが浮き彫りとなるが、近世以来、そのような発想自体が希薄化し、現代住宅においては「住む箱」として、画一的な様相を呈していると考える。それ自体が、近現代の住宅に潜む、最も根源的な問題の一つかもしれない。人間の性質や、根本とも言える部分を形成してきた住宅の姿は、古今で大きく様変わりした。現代にあって、住居の中で出産を迎える、死に 際を看取るという「生と死」に関わること、また 仏壇や神棚が消失することに伴って「信仰」の痕 跡は住居から消失の一途を辿る。住居の中から、生死のみならず、接客や祭事などの要素が住宅の外へと流出した事こそが、共同体の崩壊に繋がったのではないか。「生と死」や「信仰」と言った重荷を逃れることで住居は身軽になった。こうした歴史的な変化は、二度と元に戻ることはないが、我々が出来ることは本当の意味で自由になる為に、失ったものを知って見極め、記録し、活かすことである。

●ゼミ構成員(敬称略)
修士二年:森田歩
修士一年:黄胤嘉、山下耕生(研究会長)
学部四年:林優希、中村碧宙、矢部瑞稀

●研究会日時
隔週木曜日 14:00-