建築広告映像研究会 2020

今日では多様なメディアによって人々を情報を入手し、建築や都市への価値観を形成していっていると考えられる。そういったメディアにおいて広告というものはその地域や時代の人々の価値観を大きく反映し作成されていると考えられる。そこで本研究会ではその広告の中でも特に建築や都市を取り扱ったものに焦点を当て調査をしていく。調査、分析から、そういった広告が実際の建築や都市に対し、どのような影響を与えていったのかについて解明していくことを目的とする。

前期では以下のように研究対象を選定していった。

■時代:近代〜戦前まで
現在では本やテレビ、スマートフォンなど多くのメディアが発達し、そこから得る多様かつ多大な情報から人々は建築や都市への価値観を形成していくと考えられる。一方で、戦前においてはそういったメディアは限られており、特に本や雑誌などに掲載された限定された情報から人々は建築や都市の情報を得ていたと考えられる。そのため、特に一つのメディアが持つ影響力が大きい考えられる。
また都市部では近代化が進み、建築や都市の様相が大きく変わっていく中で、広告がその変化に影響を与えていたのではないかと推測する。
以上から、まず前期では戦前に焦点を当て、調査、分析を行っていくことになった。

■対象広告:(戦前の)観光案内書
本研究会では広告を「あるものの情報を人々に知らせ、そのものへの興味を抱かせることで行動を促すもの」と広義的に捉えた。その中で、観光案内書は戦前から普及しており、特に都市や建築といったものに焦点を当て、人々に興味を抱かせ、実際に訪れることを促進するものであると考えられ、つまりは広告的な性質を持ったものであると考えられる。
また、戦前においては度々既往研究で指摘されているように、「観光」が国家政策的な側面を有しており、そのため対象とする観光案内書も国家的な側面を有している。そのため、その観光案内書はプロパガンダ的性格を有していると考えられ、より実際の都市や建築に与えた影響が大きいのではないかと推測した。
以上から、戦前における観光案内書を前期の研究対象とした。

●ゼミ構成員(敬称略)
修士二年:早川実尋
修士一年:原田佳典、森田歩(研究会長)
学部四年:髙橋柚香

●研究会日時
隔週金曜日 13時から